遠い記憶のTEGEA(テゲア)@SPARTATHLON2008

Tegeaは、 牧歌的な平地に広がる 小さな村です。 

日陰も無いほど大地は整地され、陽射しを遮る建物や樹木なども殆どない。 

周囲は、岩石が露出した低い山々に囲まれ、車輛の往来が激しい幹線道路から数キロ程離れた大きなカプセルの中に閉じ込められたように静かな佇まいである。 

テゲアは、アルゴスとスパルタの交通の要所を押さえ栄え、マンティネイア、そしてスパルタとの抗争を繰り返し、紀元前6世紀にスパルタが盟主たるペロポンネソス同盟に下ったポリスです。 

例年に比べて今年は涼しく感じられが、それでもやはり暑い。 
30℃以上の炎天下であれば、想像を絶するほど体力消耗だろう。 

幾つかの小川を渡り、暑さを運ぶ微風が顔面を焼いていく。 

レース後、ギリシャの強い紫外線で下唇がパクリと割れていた。 

それも重症状で、渇ききった砂漠のように唇の皮膚が白色化して、今にもその破片が脱落しそうです。 

唇の割れ目は深く、2ヵ所である。 
割れ目からは溶岩のように赤色した血流の流れが垣間見られる。 
唇を左右・上下に動かすと、傷口を広げる様に痛みが走る。 

例えば、水をなどのドリンクを飲むときは水滴が染みて痛くて痛くて…これがなかなか辛い。 

もちろん、予防対策は対応済です。 
スタート前にUVカットのリップクリームを上下の唇に丁寧に塗りましたが、あまり効果が無い様です。それとも、多汗で流れ落ちたのかもしれません。 

テゲアに至る道は、長閑な田園地帯を辿る道である。 
徐々に陽射しが強くなり、今朝の白い息が出るほどの冷えこみが嘘のよう。 

ここからチームメイトのヒロ児玉さんやファンタジスタさんと平走する機会が多くなります。 

ここまで血尿に苦しむヒロ児玉さんに比べて、ファンタジスタさんはマイペースを維持し着実である。 
その走りは、テンポよく一定の間隔にリズムを合わせ、力強いステップには感心させらる。 

僕と言えば、相変わらず調子が良くない。 
食欲も無く、とにかく身体が重い。 

原因は、どうやらコースアウトしたことにあるらしい。 
制限時間を取り戻すために必死の走りに、想定以外の体力を消耗している。 
そしてこの暑さだ…かなり、閉口する。 

そして心配していた胃の具合も減退気味。 
エネルギー補給に努めるが、食欲が無い。 
各エイドに置かれた食べ物は、どうも僕には合わない。でも、今年は妙案がある。 

つまり、

1.固いパンは、ミルクなどの液体に漬けて軟らかくしてから食べる。



2.ヨーグルトは、蜂蜜を入れると美味い。栄養的にも理屈が合う。
 

どうも胃の具合が良くないようで、食欲が出てこない 

カロリーを摂取するべく、パワージェルだけが頼り。 

先に水を口に含ませて、パワージェルの中身を搾り出す。 

そして、口にまた水を含ませて、一気に胃の中に押し流す感覚です。 


小さな脇道を、迷路のように何度も左右に曲がる。 

道路に黄色いペンキで書かれた“SPマーク“が無ければ、必ず道に迷う羽目に。 

Tegeaの村に通過する前から多くの遺跡に遭遇します。 

ギリシャの紀元前年からの延々と続く長い歴史から推察すれば、至るところに歴史的遺跡が存在する。 

それを見つけ出すには、簡単な秘訣がある。つまり“ある標識”に任せる訳です。 


このある標識というのが茶色の地に、 
黄色い文字のギリシャ語に白文字の英語が併記されている標識です。 


コースに沿うように点在する遺跡や博物館が近づいてくると、道端に立っている。 

つまり、近くにある遺跡や博物館への方向を教えてくれる標識なのです。 

標識は、ギリシャ全土で共通のようで、アテネ市内でも見らます。 

その遺跡や博物館が、それなりの規模のときには、遺跡名や博物館名がきちんと明記されているのですが、“Αρχαιολογικλός Χώρος”としか書かれていないものもあるらしい。 

レースの途中であるが、少し遺跡観光をすることにします。 

この標識を頼りに訪ねた遺跡が、テゲアのアテナ・アレアの聖域跡。 

鉄の扉を自分で開いて遺跡の中に入るだけで、入場料も係員もいない。 
誰もいない静かな遺跡です。 

原っぱには、石柱の断片が無造作に転がり、手入れや発掘調査の形跡も無い。 
廃墟そのまま年代を積んだ時間の悠久さが漂います。 

耳を澄ませれば、そよぐ風に乗って運ばれてくるのは古代の人々の会話でしょうか。静かな村の中の、静かな遺跡。 

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