日本半導体復活;迫る半導体ビジネスの一大転機「5G」と「CASE
日本半導体復活へ
台湾は親日だからTSMCを日本に誘致? TSMCは中国人 半導体は50兆円産業 日本の半導体産業が復活できるかどうかの瀬戸際 製造装置と素材分野でかろうじて優位性を維持している状況 ぜひ台湾TSMCへの融資ではなく国内メーカーに資本投下して日本半導体復活を緊急の課題であり、日本の権益にも重要です。半導体ビジネスのトレンドが水平分業(≒部品を買ってくる形)に変わったことで、Intelなどの半導体専門企業が爆発的に成長する反面、日本の半導体産業はあまりスポットを浴びる機会が減りました。
しかし、だからといって日本の半導体産業が衰退したかというと、そういうわけでもないのです。
例えば売上高1位にいるキオクシアは、NANDメモリ…スマートフォンやUSBメモリなどのフラッシュメモリの世界シェアの20%を持ち、世界の半導体メーカーでトップ10に入る企業です。
スマートフォンのカメラやデジカメなどに使われるイメージセンサで世界シェアの半分以上を握るのが、2位のソニーセミコンダクタソリューションズ。
また5位の日亜化学工業は、青色LEDを発明した企業として世界的に有名で、LEDやレーザダイオードで世界トップシェアを誇っています。

こうした特定の機能を持つ半導体、半導体素子は、依然日本が強い分野です。つまり皆さんも必ず持っているスマートフォンの部品には、かなりの割合で日本製の半導体が使われているわけです。
また比較的日本が強い分野として、パワー半導体が挙げられます。
パワー半導体とは、例えば電車やEV、発電所などの大きな電力を扱う設備に使う半導体です。
この分野は、先ほどの半導体部門分社化の際も三菱、東芝、富士電機といった総合電機メーカーが手放さなかった領域です。
サンケン電気もこのパワー半導体に強みを持つ企業で、この4社で世界シェアの20%以上を持っています。

では、残る各社…ルネサス、ローム、ソシオネクストといった会社はどんな半導体を作っているのか?
その答えが、マイコンやSoCなどと呼ばれる「システムLSI(半導体)」です。

典型的なのが、ECUをはじめとする自動車の制御用コンピュータです。
コンピュータというと、どうしてもIntelやAMDのようなPCのイメージが浮かんでしまうと思いますが、実際は電子機器の塊である現代の自動車をはじめ、大半の電子機器を動かしているのはこうしたシステムLSIです。
これが先ほどの3社の主力事業となっていて、実際、ルネサスエレクトロニクスの事業構成を見てみると、その半分以上を車載半導体が占めていますね。
日本のお家芸といえる自動車づくりを陰で支えているのがこうした半導体企業なのです。

https://www.renesas.com/jp/ja/document/business-breakdown?language=ja
キオクシア、ソニー、日亜、ロームが強みを持つ半導体素子。
三菱、東芝、富士電機、サンケン電気の虎の子であるパワー半導体。
そしてルネサス、ローム、ソシオネクストが支えているシステムLSI。
この3種類の半導体が日本の世界シェア6%を下支えしているのですね。
逆に日本が弱いのが、IntelやNvidia、Xilinxなどアメリカの企業が強みを持つ、CPUやFPGAといった高度なロジック半導体の分野で、こうした製品にまったく食い込めていない所が最大の弱点といえます。迫る半導体ビジネスの一大転機「5G」と「CASE」
ではこうして日本の半導体産業について理解が深まった所で、いよいよ今日のニュースの核心に迫ります。
なぜルネサスエレクトロニクスは一年の売上高に匹敵する6000億円もの資金を投じて、Dialog Semiconductor社を買収したのか?その背景に何があるのか?
そのキーワードが「5G」と「CASE」です。

5Gについてはご存知の方も多いでしょう。日本でもついにサービスが開始された、次世代の高速通信ネットワークの事です。
従来の4Gと比べて100倍の速度、1/10の遅延で、100倍のデバイスが接続可能といわれています。こうした高速通信は、私たちの生活をこれから大きく変えていくものとして期待が集まっています。
しかし一方で、5Gは4Gよりもさらに高い周波数を使うために、従来よりも基地局を大量に設置する必要があります。また通信量の増大と、低遅延という特性を生かすために、基地局以外への投資も必要になります。
そのため5G関連設備への投資は、日本の携帯電話キャリア各社だけで数兆円という莫大な額となる見込みで、世界のキャリアを合わせると直接投資だけで10年で100兆円に迫るという試算も。これによる経済効果は2024年までに全世界で500兆円が見込まれています。
日本の国家予算が年間300兆円程度なので、どれだけ膨大な金額が動くかが分かるでしょう。

今まさに、半導体ビジネスに一世一代の巨大な波が来ているのです。
そして5Gと並ぶもう一つの大波が「CASE」です。
CASEとは2016年ごろに提唱された言葉で、自動車の次世代のトレンドを表した言葉です。
つまり、この4つです。

C:Connected(ネットワーク接続)
A:Autonomous(自動運転)
S:Shared&Service(カーシェア)
E:Electric(電動化)
つまり、これからの自動車は5Gネットワークに接続され、高度な自動運転が可能になるとともに、より一層シェアリングサービスが発展し、そしてその多くがEVになる…とまとめられます。「未来の自動車」の時代がやってくるのです。
当然、こうした自動車の高度化の主役は半導体に他なりません。400兆円といわれる巨大な市場規模を持つ自動車産業に、半導体が大きな役割を持とうとしているのです。
自動運転にはシステムLSIや、センサ用の半導体素子が必要になります。電動化ではパワー半導体が鍵になります。
そしてこの分野は、日本の半導体企業が強みを持つ分野でもあるのです。

度重なるルネサスの大型買収の背景にあるのは、こうした5GとCASEが生み出す巨大な需要なのです。
またルネサスは自動車と同程度、年間3000億円以上を通信インフラやIoTの領域で稼いでいます。そして買収したIntersil、IDT、そして今回のDialog Semiconductorは、いずれも通信用半導体に強みを持つ企業。
つまりルネサスは、こうした通信用半導体の技術を社内に持つことによって、5GとCSASEというビッグウェーブに挑戦しようとしているのです。



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