トランプ貿易政策の立案者スティーブン・ミラン氏は、2024年11月に『世界貿易システムの再構築のためのユーザーズガイド』という論文を発表
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トランプ関税政策の全ての計画は事前に公開されていた
トランプ貿易政策の立案者スティーブン・ミラン氏は、2024年11月に『世界貿易システムの再構築のためのユーザーズガイド』という論文を発表し
これまでに起こったことすべて(そしてこれから起こる多くのこと)を明らかにしていた
以下要点
論理1:ドル高と貿易赤字
論理2:中国への報復
3:ミランの戦略の目的
4. 補足:日本への影響
論理1:ドル高と貿易赤字
✅米ドルが基軸通貨であり、世界中で使われている
何が問題?
👉これはつまり『ネットのドル輸入国=ドルをよく使い必要とする国』が増えることで、ドル需要が高まり、ドル高になる
→ドル高で米国の輸出競争力が低下し、貿易赤字が拡大する
→貿易赤字とドル高が米国の産業基盤を弱体化させ、長期的に米ドルの基軸通貨としての地位を脅かすリスクがある(ミランの警告)
💡ドルを、世界中の貿易通貨として使われていると、需要が高まりドル高になる
しかしこれは米国経済が成長したためにドル高になってるわけではない
むしろアメリカは輸出競争力が低下する⤵️
論理2:中国への報復
✅中国は輸出大国で、米国市場に大きく依存しているが、知的財産保護が不十分(ライセンスとかパクったりする)
👉中国の重商主義的(安価な物や人件費でガンガン輸出して稼ぐ)な輸出モデルが米国の貿易赤字を拡大させ、産業を圧迫している
→2018年トランプ1.0時の関税では効果が限定的だったため、普遍的関税(世界各国一律関税)や階層型システム(知的財産保護が高い国を優遇など)を導入し、中国を締め出す戦略を取る
💡米国市場へのアクセスを報酬として使い、貿易相手国に「米国か中国か」を選択させる圧力をかける
つまり、アメリカの『防衛の傘』を引き換えに、アメリカに優位な『貿易の傘』交渉に応じて中国を締め出すことに協力するか各国に選択させる
ミランの戦略の目的:
✅貿易赤字を減らし米国の産業基盤を守る
✅中国の不公正な貿易慣行(特に知的財産盗用)を是正する
💡グローバル貿易を米国中心に再構築し、米国の地政学的優位性を確保する
これまでの自由貿易や多国間協定を一変させ世界経済を改革する
上手くいけば世界経済は新時代へ
4. 補足:日本への影響
日本は米国と安全保障面で同盟関係にあり、知的財産保護や市場開放度も比較的高い国です
ミランの「階層型システム」では、日本は「優遇国」に分類され、低い関税で米国市場にアクセスできる可能性が高いです
今回のミランによる関税戦略の狙いは
✅『外国政府にドル準備の蓄積をやめるよう圧力をかける』ことで、ドルの基軸通貨としての役割を意図的に縮小する
👉これは、ドル高を抑え、ドル安に誘導することで、米国の輸出競争力を回復し、貿易赤字を減らす狙い
💡ドル安になれば、ミランの目標である「米国の産業基盤の強化」に寄与する可能性がある
✅普遍的関税で、中国による迂回輸出(他国経由でアメリカへ輸出、2018年トランプ1.0でおこなわれた)や知的財産権の不正利用を回避する
という、緻密な対中戦略とアメリカ財政再建が練られています
しかし、ドル高が続けば、日本の輸出品(例:自動車や電化製品)が米国で割高になり、輸出が減るリスクがあります
また、米中間の貿易戦争が激化すれば、グローバルなサプライチェーンが混乱し、日本企業(例:中国で生産して米国に輸出する企業)にも影響が及ぶ可能性があります
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