資産運用会社が暗号資産(仮想通貨)に連動する上場投資信託(ETF)を次々に立ち上げている。

 

資産運用会社が暗号資産(仮想通貨)に連動する上場投資信託(ETF)を次々に立ち上げている。デジタル資産を巡る投資熱が高まる一方で、商品化に関する上場基準の規制が緩和されたために活気付いているのだ。

米証券取引委員会(SEC)は先週、ETFに関する基準を改めた。ソラナからドージコインまで幅広い仮想通貨に連動するETF商品に対する需要を後押しする可能性がある。

より伝統的な仮想通貨であるビットコインやイーサリアムに関連するETFは2024年に、発行者や取引所に対してより厳しい基準を設けた従来の規制に従って立ち上げられた。

米国はビットコインかイーサリアム、あるいはその両方の保有するETFが21本あり、SECは現在その他の仮想通貨に関連する新しい商品も多数申請を受けている。

アナリストたちは新規制の下で最初に承認される商品が仮想通貨のソラナやXRPに連動するETFになると予想し、10月初旬に市場に出てくるとみている。

  1. SECによる規制緩和の具体的な内容
    SECが実施した規制緩和は、暗号資産ETFの承認プロセスを簡素化する新しい枠組みを設けたことによるものです。これまでのビットコインやイーサリアムのETFは、個別の申請ごとにSECが厳格な審査を行っていました。しかし、今回の変更では、特定の統一基準を満たすETFについては、審査プロセスが短縮化され、より迅速な上場が可能になる見込みです。
    具体的には、

  • 「19b-4プロセス」の省略または簡素化: 従来のETF承認プロセスでは、取引所がSECに「19b-4申請」を提出し、SECが承認するまでに長い時間を要していました。新しい基準では、このプロセスのボトルネックが解消されることが期待されます。

  • 統一的な上場基準の整備: トークンの流動性、時価総額、日々の取引量など、客観的な指標に基づいた包括的な上場基準が設けられました。これにより、個別のETFごとにSECが詳細な審査を行う必要が少なくなり、効率が向上します。
    この規制緩和は、単に「規制が緩くなった」というだけでなく、暗号資産をより「伝統的な金融商品」として扱うための、制度的な整備の一環と捉えられています。

  1. なぜソラナ(SOL)やXRPが最初に承認されると見られているのか
    アナリストがソラナやXRPを筆頭に挙げているのには、いくつかの理由があります。

  • 高い流動性と時価総額: ソラナやXRPは、ビットコイン、イーサリアムに次いで、暗号資産市場で高い時価総額と流動性を持つ銘柄です。これは、新しい統一基準で重視される指標であり、承認される可能性を高めます。

  • 活発な取引量: これらの銘柄は、世界中の取引所で活発に取引されており、ETFの健全な運営に必要な流動性を確保できると見られています。

  • 訴訟リスクの軽減(XRP): XRPは、かつてSECとの間で「有価証券」を巡る訴訟を抱えていましたが、裁判所の判断により、二次流通市場での販売が有価証券に該当しないとされたことで、規制上の不確実性が大幅に軽減されました。これにより、ETFとしての商品化がより現実的になりました。

  • ソラナのステーキング: 一部のソラナETFは、「ステーキング(保有するだけで報酬が得られる仕組み)」の機能を含んだ商品として申請されており、投資家にとって新たな魅力となる可能性があります。

  1. 市場への影響と今後の展望
    暗号資産ETFの承認ラッシュは、市場に以下のような影響をもたらすと予想されます。

  • 新規資金の流入: ビットコインやイーサリアムのETFと同様に、ソラナやXRPのETFも、機関投資家や個人投資家がより手軽に投資できる手段となります。これにより、暗号資産市場全体への新たな資金流入が期待されます。

  • 市場の透明性と信頼性の向上: 伝統的な金融市場の規制下で運用されるETFが増えることで、暗号資産市場全体の透明性と信頼性が高まり、さらに多くの投資家を呼び込む可能性があります。

  • 価格変動の可能性: ETFの承認は、通常、その対象となる暗号資産の価格を押し上げる要因となります。特に、承認が濃厚とされるソラナやXRPは、今後の価格変動が注目されます。

  • その他のアルトコインへの波及: ソラナやXRPの承認が成功すれば、ドージコイン、ライトコイン、カルダノなど、他の主要なアルトコインのETFも、同様のプロセスで承認される可能性が高まります。ブルームバーグのアナリストは、これらの銘柄も年内に90%以上の確率で承認されると見ています。
    しかし、全てのETFが成功するわけではなく、実際に多くの資金が集まるのは、ごく一部の成熟した銘柄に限られるという見方もあります。また、日本国内の投資家がこれらの新しいETFに投資できるようになるかは、現時点では不透明な状況です。

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