ビットコインの課題


ビットコインの課題
1.ビットコイン取引の仕組み
個人から個人に送金されるビットコイン取引をブロックチェーン上に記録する作業(これを承認と言います)をマイニングコンピューターが行う。1ブロックが埋まれば次のブロックが生成され、取引記録が保存されてく。ブロック同士がチェーンでどんどんつながっていくことから、この仕組みをブッロックチェーンと呼ぶ。
無題1
2.スケーラビリティー
※スケーラビリティー:ビットコイン取引量に対する処理能力のこと
【未承認のビットコイン取引の増加】
・送ってもなかなか届かない
・結局送れずに戻ってくることがある
⇒今後決済手段として普及させるためには大きな問題である。
3.処理能力が追い付かない原因
① 処理能力不足
取引量が増えすぎて、処理能力が追い付いていない。現在の処理能力は1日当たり最大60万取引である。1ブロックに約3000個の取引記録が保存される。しかし、現在は取引量に対して処理能力が追い付いていないことから未承認の取引が日々増加している。決済手段として普及させるには何らかの打開策が必要である。
《未承認取引の状況》
https://blockchain.info/ja/unconfirmed-transactions
4.解決策(概要)
① 1ブロック(箱)の容量を大きくする 
⇒ Unlimited派(ハードフォーク)
② 1取引のデータを小さくする        
⇒ Segwit派(ソフトフォーク)
5.ハードフォークの過去事例
今回ビットコインが直面しているスケーラビリティー問題とは違う理由であるが、イーサレアムは過去にハードフォークを行った。イーサレアムの場合は、ハッキング被害を受けた記録を元に戻す際にデータの改ざんを過去に行った。改ざん記録とのチェーンを断ち切るために、ハードウォーク(ブロックの容量を大きくする)を行った。なぜなら、ブロックの大きさを変えると過去のブロックと大きさの相違が出る為チェーンでブロックを結べなくなるからである。そこで、元々のデータ改ざんを行ったブロックチェーンを継続したのがイーサレアムクラシックであり、本流のイーサレアムは新しいブロックサイズとしてデータ改ざんのない新しいブロックチェーンとして生まれ変わった。
※余談だが、イーサレアムはスマートコントラクトという機能がついている。ビットコインは金銭の移動のみを記録するのに対しイーサレアムは金銭取引と別に契約内容も記録するという点で将来的に非常に注目を集めている。
6.ビットコインが容易に仕様変更できない理由
イーサレアムは※半中央集権通貨ですがビットコインは非中央集権通貨です。みんなで管理する通貨だから、機能変更時もみんなの承認が必要、これが実は厄介である。全員の思惑を考慮する必要があり、全員が自分の有利な条件で変更を行いたい。そのため、仕様変更が容易に進まないのである。※イーサレアムはPOWとPOSという二種類の承認方式を採用している為




7.BIP148(bitcoin improvement proposals148)とは
直訳すると、ビットコイン改善提案148です。8/1頃に向け、ビットコインの送金遅延問題を解決するためにブロック(箱)に入れるデータを小さくすることに賛同して下さいという提案のことです。148は148個目の提案という意味。マイナーの95%以上が賛同すれば、データの縮小(このことを専門用語でsegwitと呼ぶ)を決行するという内容です。
《勢力》開発者・マイナー・取引所・ユーザー
《派閥》Unlimited派とSegwit派
8.結局どうなるのか?
以下のケースが考えられるが、実際のところは蓋を開けてみないとわからない。
①Unlimited(ハードフォークの一種)
1ブロック(箱)の容量を大きくすることで過去のブロックチェーンとの連鎖が途切れます。従って、Unlimitedが行われた場合はビットコインはイーサレアムの時と同様に2つに分裂します。
※ASICBoost(Unlimited派マイナーがsegwitに賛同できない理由となる機能)
この機能を搭載している中国のマイ二ングコンピューターは現在のマイニングにおいて非常に有利に報酬を獲得できている。特許がある機能であり、計算処理を事前に先回りして行う技術が搭載されているのである。現方式のままであれば、計算処理が早く優位にマイ二ング報酬を獲得できる。要は、この機能を搭載しているマイナーたちはSegwitを採用することで、これまでの有利なマイニングができなくなる。また、現在のマイン二ングコンピュータに何らかの変更を加える必要があるため断固としてSegwitを採用することに反対しているのである。
②Segwit(ソフトフォークの一種)
1取引のデータを小さくすることで一件落着といきたいところですがUnlimited派マイナーの思惑があるため容易に進まない。
※ UASF(User Activated Soft Fork)
取引所やユーザーがSegwit(ソフトフォーク)に賛同しないマイナーが承認して得たビットコインは換金できなくするという取引所の声明。データ容量を小さくし取引速度を改善するSegwit派に賛同するようにUnlimited派のマイナーに促すもの。
③ その他
9.8.1問題によるリスク
① リスク回避でビットコインを現金化する流れが加速する。
・ビットコインの下落
②ビットコイン以外のアルトコイン(ビットコイン以外の暗号通貨)に資金が流れる。
・ビットコインは下落し、その他のイーサレアムなどが急騰
③暗号通貨全体から資金が流出する。
・暗号通貨全体の一時的な価値下落
10.対策
① 一旦現金化する
② 他の通貨に資産移動する
11.総論
前回のハードフォーク問題の際は、大したビットコイン価値下落には繋がりませんでした。むしろその後にビットコイン価値は3倍まで短期間で上昇しました。こういった問題は不透明な点が多く、明確な判断は難しいが、個人的には他の暗号通貨に資金が若干流れ、若干ビットコインの価格が下がる程度で落ち着く気がします。理由は、決済手段と認知度の広がりによる新規参入者の増加が下落の歯止めに繋がるからです。パワーバランスを数値で明確に示すことはできませんので、あくまでも”気がします”レベルです。おそらく、今回の問題を認識しているのは以前から暗号通貨に精通しているマニアックな人たちだけで、まだ経験の浅い新規参入者はビットコインを手放す流れには乗らないというより乗れない気がします。

コメント

人気の投稿